「ガーデンハーブで作る緑の薬箱」プロジェクト

日頃から、身近に育つ薬草を活用してハーブ療法を実践していきたいという思いがあります。英国でハーブ医学を学んで帰国した時から、日本に自生している薬草でなく、なぜ西洋ハーブを扱っていくのかということを自問しています。

 

西洋ハーブに関しては、薬草としての系統立てた知識と科学的なエビデンスが集積されていて、民間療法とは一線を画したハーバリストという専門家が行うハーブ療法における臨床データがあります。それを学ぶために渡英し、臨床の場と、英国の風土や歴史の中でハーブ療法がどのように活用されてきたのかを見てきました。

 

そして、知識を身につけ経験を積んだ西洋ハーブの中でも、日本で野草として採取できるか、栽培できるものを中心に扱っていくという方向性を見出しました。それによって、英国で学んだ経験を生かしつつ身土不二の実践に近づいていけるのではないかと考えています。

 

それを実現するためにも、香港留学中にはハーブガーデンでボランティアを重ね、その後、自然の豊かな奄美大島に移住することになりました。この土地は香港と同じ亜熱帯気候ですが、気温や湿度などが違うため同じハーブが同じように育つわけではなく、試行錯誤を重ねて、奄美大島にあったタイミングで栽培できるようになってきました。収穫したての新鮮なハーブは香りも味もよく、効き目もよいようです。

 

ただ農家ではないので、すべてのハーブの供給を賄うには至っていません。我が家のハーブストックを十分に補給してくれる量にすぎません。例えば、ディル2本から片手に収まるほどのガラス瓶いっぱいのディルシードを収穫しました。次の収穫期までに、ピクルスに漬け込んだり、チーズと一緒に食べたり、ハーブティーにブレンドするには十分な量です。

 

また、ガーデニングや畑仕事をされている方、ベランダなどでハーブを栽培している方には

ハーブ苗を販売し、ご自身に必要なハーブや興味のあるハーブを育てて活用していただいています。そして「ガーデンハーブで作る緑の薬箱」セミナーにて、栽培したハーブの活用法を学ぶ講座も行っています。

 

ハーブは天然資源なので、無限に作り出せるわけではありません。世界の薬用・芳香植物の乱獲は進み絶滅の危機に追いやられている種もあります。(「report:野生薬用植物のサステイナビリティを考える」2009年7月7日投稿 参照)かつて医薬品が開発、製造されるようになる以前は、ハーブ療法(日本では漢方)が一般的でしたが、時代が変わり、消費する一方では資源が枯渇する可能性が出るようになってきています。

 

herbshavenのFacebookページでは、季節のハーブをご紹介するガーデン日誌をつけています。その中で2017年春から、ガーデンハーブで作る「緑の薬箱 our green medicine chest」というアルバムを作り、奄美大島で実際に栽培しているハーブとハーブ療法での活用法を簡単にまとめて発信しています。現在の庭は昨年8月頃から手を入れて、約10ヶ月経ったものですが、約30種ほどのハーブが育っています。小さな畑にはさらに15種類ほど植えられています。

 

庭で育てられるハーブで、ひとりひとりの「緑の薬箱」を作ることができます。そして、そのハーブを日頃に健康管理に生かしていただけたら幸いです。